【連載】ペアレント・ピアヘルピング(2)中学校における「ペアレント・ピアヘルピング」の実践例

A中学校支援本部 カウンセリングサポート部主催
「子育てをする親のための【ピアヘルピング講座】
第2回目実施報告(1)

主催代表:初級教育カウンセラー 齊郷敦子

子育てをする親のためのピアヘルピング講座について

    • (講座の対象)A中学校保護者
    • (講座の趣旨)A中学校を卒業した子どもがいる先輩保護者をピアヘルパーとして交え、同じ年代の子どもがいる親同士が学び合い、子育てについての相談が気軽に出来るような場作りを目指す
    • (実施回数)年 3 回程度(今年度で 6 期め(H23、25、26、27、28、29))
        ※毎年、1 回目は「親としての高校受験」として進路についてテーマを設定、 2 回目は「親子のコミュケーション」、3 回目は適宜テーマを設定している)

子育てをする親のための【ピアヘルピング講座】第二回(10/5)実施報告
(内容について)
【一部 ミニレクチャー】
「自分に気づくエゴグラム」~交流分析を通じての親の自己理解と自子理解~

  1. ねらい:親の自己理解
    まず、親自身が自分について考え、気づきが得られるよう、交流分析の自我状態の構造分析、 機能分析(5 つの自我状態)について触れ、各自エゴグラムを作成してもらった。その後、参加者が自 分のエゴグラムについての感想を述べ、「いま、ここ」の自分の心の状態についての気づきを語り、皆 で共有、互いに感じたことをフィードバックした。
  2. ねらい:親の自子理解
    普段の親子のコミュケーションを振り返り、関わり方の癖や上手くいかない場合の理由などの気づ きが得られるよう、ストローク、やりとり分析についてレクチャーをした。やりとりが上手くいかな い場合の対処方法として、ストロークを常に満たしているための工夫や、自分の自我状態を切り替え て講じる「代替案(策)」について触れた。
  3. まとめ
    親と子の効果的なやりとりのコツとして、子どもにも自我状態があり、それを尊重することを忘れ ないこと、ちょうど良いCP(支配的親心)、NP(養育的親心)を上手にコントロール出来るよう、 自分の言動を選択できる、A(成人の心)の大切さについて述べた。
    最後に、4つの「人生の基本的立場」(OK牧場)について触れた。「過去と他人は変えることは出来ないが、いま、ここの自分は変えることが出来る」、との言葉で締めくくりをした。

エゴグラムのシェアリング

【二部 SGEによる親の自己理解と自子理解】

  1. わが子の長所の棚卸し ~私は私の子どもが好きです。なぜならば・・・~ (SGEの説明)グループで車座になり、一人ずつ順番に自分の子どもの長所を述べていく。それを 5 分間続けていく。ねらいは、わが子の良いところの再発見、および自己理解。子どもの長所を見つけ 出す視点への気づきとポジティブな感情体験を得られる。
    (やってみて)
    メンバーの、最初は照れと戸惑いが見られたが、次第に視点を変え、様々な工夫をしながら、お子 さんの良いところを懸命に語る様子が、非常に印象的であった。
    そのうち、「私の子どもが好きです」ではなく、「私の子どもが大好きです」と言う方も出てきた。 何周目かになるとネタが尽きて来て困る様子も見られたが、互いに「がんばって!」という声かけが 行われ、和やかな雰囲気で進めることが出来た。
  2. ○○さんの☆印 (SGEの説明)ねらいは、他者から見た自分と自己の評価の違いを見比べ、自分の良さを再確認すること。
    名前の書かれたメンバーに対し、ワークシートに書かれた 10 項目の中から、5 つの☆印を選び塗り つぶしていく。全員書き終わったら、一斉に右隣に回していき、1 周して自分のシートが戻ってきたら、 メンバーが塗ってくれた✩を確認しながら、自分自身に対して✩をつける。
    (やってみて)
    途中で、黙々と相手について考えながらシートの✩を塗りつぶしていく様が、「人事査定みたい」と いう感想もあり、インストラクションがきちんと出来ていなかったことを反省。
    今回初めて会う人もいたので、ミニレクチャーからリレーション作りは出来るように心掛けたのと、 ピアヘルパーさんたちの親しみやすい人柄に救われ、✩を選ぶ作業はそんなに時間がかからなかった ようだ。全員のワークシートを見てみたが、「10思いやりがある」の項目に、どのメンバーも☆が塗ら れていた。講座を通して互いに互いを思いやる様子が、何度も見受けられていた。
    「メンバーからもらった☆を見て、どう感じたか?」のシェアリングがもう少し出来たら良かった。

(第3回に続く)

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