こころのスキルアップ教育
~ 子どもたちと関わるときに ~

私は認知行動療法を学びながら、心理療法を学んでいるという特別な気持ちになったことはありません。学校生活の中で使う効果的な関わりのスキルを学んでいるという意識でいるのだと思います。実際、教室でも廊下でも、その学びを子どもたちと関わるあらゆる場面で使っているからです。

「認知療法尺度(CTRS)」というものがあります。認知行動療法を行うセラピストの評価尺度です。下の図はその中のコモンファクターと言われる、どの心理療法にも共通する項目を並べたものです。この項目の説明を聞いた時に、これは教師の評価尺度としても使えるものであると感じました。おそらくそれは、この項目が人を育てる際の関わりのガイドラインに価するものであるからだと思います。もし、この項目に沿ってスキルを上げていくことができたなら、その教師の立ち姿がそれまでとは違ったものになっていくような気がします。

CBTT(認知行動療法開発研修センター:大野裕先生)動画では、それぞれの項目について次のように説明されています。
 「課題を設定して適切に患者さんからフィードバックを引き出して、それをきちんと理解する。(項目1・2・3)。専門性をもった態度で温かく接することができる。(項目4)。患者さんと一緒に作業を進めることができる。(項目5)。面接時間を有効に使いながら患者さんのペースに合わせて話を進めていくことができる。(項目6)。」

評価尺度からは時間管理や適切なアセスメント、教師の豊かな感性や人間性が子どもたちを育てる大切な要素であることなどが読み取れると思います。これは日々起きてくる子どもたちの問題に対処するときの、ふりかえりの指針となるのではないでしょうか。

  • 課題を設定することができているでしょうか。
  • 対話を通じて、その子を人として理解することができているでしょうか。
  • 子どもたちを育てる役割を担った教師として、そのスキルを活かし、その子に向き合い、温かさをもって関わることができているでしょうか。
  • その子に寄り添って、一緒にやっていこうという関係性ができているでしょうか。
  • その子のペースを感じ取り、時間を有効に使いながら実のある面接ができているでしょうか。
  • 面接の流れを組み立てながら、この先のスモ―ルステップを一緒に見つけ出す作業ができているでしょうか。

私たち教師は子どもたちによりよい教育を提供するために、関わりの質を高め、世の中にある様々な指導法を活用していきたいものです。「こころのスキルアップ教育」の研修の場でも、ここまでをお伝えする余裕がなかなかありません。お伝えしたいことは、認知行動療法には、認知再構成法・問題解決技法などのスキルがあります。でも、他にも大事にしていることがあるんですよということです。

専修大学附属高等学校 平澤千秋